省エネ 実践例(1)  株式会社山水「無駄なく、無理なく、電力削減!」
地球温暖化防止への取り組みが求められるなか、都内で3店舗のパチンコ店を展開する(株)山水(東京都東村山市)では、早くから全社的に省エネ、電気使用量(CO2)の削減に取り組んでおり、照明設備等の電源オン・オフの時間帯を区分けするなど、コストをかけなくても、ちょっとした工夫で年間10%以上の電気代を削減しました。  
(株)山水の具体的な取り組みを紹介します。

1.

配電盤パネルの「見える化」
   出勤時の一斉電源オンはNG
従来は、開店前の早朝の時間帯から店内設備等の電源を一斉に入れていました。
このため、実際は必要のない箇所の照明や空調設備等の電力が無駄に使われていました。 そこで、開店前の作業手順を見直しながら、電源オンの時間帯を照明設備等によって開店の「1時間前」「30分前」「15分前」の3段階に区分けし、配電盤パネルにこの3段階の違いを色別シールで表しています。さらに、電源オン・オフの一覧表、マニュアル、配置図を貼っておくことで、店舗スタッフの誰が行っても間違いがないよう分かりやすく示しています。例えば、点検時間がかかる島設備等は開店1時間前、遊技台は開店15分前というように設定しています。
 

2.

室温はお客様の体感温度に合わせて快適空間
パチンコ店の電力消費割合で最も高いのは空調で、店舗規模、立地などによっても違いがありますが、店舗全体の5割ちかくを占めています。
したがって、とくに夏期のエアコンの温度設定は、電力消費に大きな影響を及ぼします。 留意すべきポイントは、常時、動いている店内スタッフとお客様とでは、体感温度が違うということです。 お客様に快適に遊んでいただくため、(株)山水では店内5~6ヶ所ほどに温度計を設置し、こまめにチェックし記入しています。 店内の快適な温度は、26℃前後と言われており、温度計のチェックは欠かせません。一般的に、パチンコ店は「冷やしすぎ」が多いようです。
温度計を設置する高さも、お客様が座る位置(高さ)を考慮しましょう。電力会社は、冷房の温度設定を1℃下げると、電力消費量は10%上がる、としています。
同社では、各エアコンに番号を付け、操作パネルのそばにエアコン配置図と電源投入時刻のグループ分け一覧を表示しておくことで、開店前の一斉電源オンを止め、段階的な電源投入で省エネを図っています。
 

3.

デマンド監視装置の導入
電気使用料金の内訳は、デマンド基本料金+使用電力料金(従量料金)で算定されます。
デマンド値は、30分間に使用した総電気使用量を2倍にした数値で、これが基本料金となります。 このデマンド値が30分間で一度でも超えてしまうと、基本料金が1年間、引き上げられてしまいます。 そこで、このデマンド値を超えないように常時、計測するシステムが、デマンド監視装置です。同社では、2005年6月にK社のデマンド監視装置を導入。電力の使用状況を24時間モニターでき、目標のデマンド値が超えそうになると、複数の職階者に「デマンド警報」のメールが届きます。
警報が届いた場合、営業にさしつかえのない箇所の電源を一時的に消します。デマンド値の最大は殆どの場合、気温の高い真夏に記録するので、この期間が抑えられれば、電気の基本料金は低く抑えられます。
同社では、デマンド監視装置の導入や前述の配電盤パネルの見える化などにより、2007年の電気使用量は11.7%(04年比)削減しました。
 

4.

東京電力の「ECOサポートプラン」に参加
同社では、東京電力の森林保全活動「ECOサポートプラン」に参加しました。ECOサポートプランは、省エネ事業等に取り組む店舗等を対象としたもので、「CO2削減証明書」(写真)が発行されています。
 

5.

トトロの森 保全活動に参加
同社では、埼玉県所沢市と東京都東村山市にまたがる「淵の森」の自然を守る保全活動に参加しています。このプロジェクトの会長は、「となりのトトロ」などスタジオジプリの映画監督・宮崎駿監督です。同監督は、淵の森を散策しながら、トトロの構想を練ったと言われています。「トトロの森」で下草刈り、植樹活動などのボランティア活動を継続しています。
 

6.

全社的な意識啓発と認識共有

同社では、多くのスタッフが「チーム・マイナス6%」(現在チャレンジ25)に登録参加しています。また、環境問題に対する認識を共有しながら、省エネ活動で無理なく経費節減しつつ、環境経営に取り組んでいくことが、企業の社会的責任(CSR)と捉えています。